GEISAI MAGAZINE

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GEISAI #7金賞受賞者、ハルノさんに突撃取材!

「プラスのマイナスじゃなくて、
マイナスの中のプラスがかっこいい!」


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1978年生まれの27歳。GEISAI へは数度の挑戦を経て、#7で金賞受賞。その受賞作はこちら

 キャンバスに布や靴型を貼り付けたダイナミックな作品で注目を集め、見事GEISAI #7の金賞を受賞したハルノさんは、現在、熊谷のご実家近くに借りたアトリエで制作に没頭する日々を送っています。ちょうど浅草に材料を仕入れに来られるというので、同行取材をさせていただきました。

大好きな靴の素材を作品に

 訪れた靴の材料店チカオさんには、布や縫い糸など、あらゆる靴の素材が揃っています。特別に通していただいたショウ・ルームには、世界中から集められた中敷きや靴底がぎっしり並んでいて、ハルノさんは貪るようにそれらを手にとり、どんどん選んでいきます。柄の凝ったカラフルなラバーソール、作業用の分厚いもの等々。いろいろなものがあって、想像がかき立てられますよね! と、とても嬉しそう。段ボール一杯のソールとクッション・シート、紙をどっさりと購入されました。

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「面白いですよねー!」 ずらり並んだインナーソールを吟味中


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購入した材料は、ソールや布など全部で7万円分。これらがどんな作品になるのか興味津々!


 もともと靴やファッションが大好きで、布やラバーを自然に材料に選んだというハルノさんの作品は、キャンバスに自由に配置したモノの質感が面白く、その日用品使いがラウシェンバーグのアッサンブラージュを連想させたり、軽快な構成がブラックのキュビスム絵画を思わせたりと、大胆でポップな中にもオーソドックスな美術の形式を感じさせます。パソコンを使えないという彼のアナログな感性が、逆に功を奏するのでしょうか。でも、本人は美術展はよく見るものの、とくに美術に詳しいわけではなさそうです。

素材を選ぶときは、服やスニーカーを買う時と同じで、いいなって思ったら買います。そこからまた広がったりしますから。スニーカーも、マニアックな趣味じゃなくて、いいものは後で手に入らなくなるからまず買っておく。わかる人にはわかるよさというのがかっこいいんです。ファッションは好きだから、いつか自分のお店を出したいという気持ちはあります。裏原でNIGOさんに勝ちたい! でも今はそれよりもやりたいことがあるから、作品を制作しています。

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最新作「エコロジー」にも、お馴染みの靴型が使われています


お笑いから芸術へ~ハルノさんの意外な経歴

 24歳で入ったセツ・モードセミナーでアートの勉強を初めてしたというハルノさんは、実は制作歴は2年ほど。高校卒業後に、お笑いの道を進んだというユニークな経歴をもっています。

20歳で芸人さんのところに弟子入りして、3年ほど住み込みで付き人をしていました。僕、田舎から出てきてすぐに師匠についたので、広い世界を知らないわけです。でも、どこに行くにも師匠と一緒だったので、、お笑いだけでなく、道場六三郎さんや畑山さんとか、食やスポーツ、陶芸、書画など、一流の人たちの活躍を間近で見ることができたんです。それで、これだ!と思った。表現の仕方が違うだけで、一流の人はみんな一緒だなと。自分の感性をお金にして、好きなことをしている人が本当にいるんだと知って、嬉しかったです。お笑いでは勝てないと思ったけれど、それ以上に素敵なものを発見して、技術をクリアしたら、僕も負けない!と思ったんです。

どんどん挑戦していきたい!

師匠のところを卒業したとき、ある人に、学校に行くだけでなくて、いろいろ試してどんどん表現して出ていったほうがいい、そしてたくさん失敗して、ダメなら辞めたほうがいいからって言われました。GEISAIに出し続けて、しばらくはなにもなかったけれど、#6で村上さんに、『面白いね。この突き抜ける感じを続けてください』って言われて、もっと自分なりに形にしようと意識してつくったら、金賞になった。自分がやっていることは、間違っていなかったと思えて本当に嬉しかったです。

 自信を得たハルノさんは、アートの一流になるべくニューヨークへの留学を決意し、先日は早速ニューヨークへ行ってチェルシー街の画廊を見て回ったところ、実は期待していた面白みが感じられずショックを受けたといいます。けれど、アートの一番だとされる場所で自分を磨こうという意志は固く、自分自身の美の指針も揺らいでいないようです。

新しいものだけでなくて、琳派とか古いものも好きです。勅使河原蒼風先生が好きなんです。壮大で、色気がありますよね。なにかをプラスするばかりじゃなくて、マイナスの中にプラスがあるのがいい。それは日本独特の感性だと思いますね。
 これからどこまで自分ができるのか、本当に楽しみです。どんどん自分に投資して、作品を見たら作者がわかるぐらいの確固たるところまでもっていきたいと思っています。


 弟子入りを卒業して以後、営業のバイトでプロ並みの才能を発揮した時期もあるけれど、お金をただ稼ぐことには興味がもてないと、彼はあっさり言います。若くして本物の味を知り、強気の姿勢で道を切り開こうとするタフなハルノさん。その先にどんな表現が現れてくるのか、心底楽しみになってきました。

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最新作「刀」には、テント生地を使用。ファスナーが切り跡のようです
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