GEISAI MAGAZINE

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小山登美夫ギャラリー・スカウト賞受賞者、桑久保徹展開催中!

純粋な画家としての道を行く 
桑久保徹ドローイング展


 GEISAI #2に出品後、#5で小山登美夫ギャラリーと『美術手帖』誌のスカウト賞を受賞した桑久保徹さんは、2004年2月に小山登美夫ギャラリー地階のProject Roomで個展を行い、なんと初日に作品完売という快挙を成し遂げました。
 ギャラリーの取り扱い作家として、アートフェアやGEISAIの画廊ブースにも出品されるようになった桑久保さんの状況は、めまぐるしく変わっています。ちょうど今も、小山登美夫ギャラリーのサテライトであるTKGY at lammfrommでドローイング展が開催されているところです(6月26日まで)。

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アートグッズのセレクトショップ、lammfromm the Concept Storeの一角にある、TKGYに作品が飾られています。

 ゴッホのような分厚いタッチの油彩画がトレードマークの桑久保さんですが、ドローイングもまた新鮮な印象を与えます。特に木炭で描いた大きな絵は、油彩のタッチと木炭の荒い筆致がシンクロして、なんともいい風合いを醸し出しています。あふれ出るように描かれたインク画を見ると、彼のイメージの貯蔵庫の豊かさをかいま見るようです。絵画を生むプロセスとしても、独立したメディアとしても両方楽しめるのがドローイングのよさなのです。

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Step by Step 2005 紙に木炭 51×65cm

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浜辺で星を待つ 2001 紙に木炭 51×65cm


絵を背負って売り歩く画家になりたい

 モネやゴッホなど、二十世紀の巨匠の画風をシミュレートした桑久保さんの作品は、見慣れた名画のもつ心地よさがある一方、砂浜を掘る人や地中から飛び出す花など、描かれている海辺の非現実的シーンが人の不安と好奇心を誘います。GEISAI #5の時には、あえて本名は隠し、モネやボナールと合体させた「Kuwoud Bonet」なる画家兼画廊主として参加したように、作品には、彼自身のアートの再解釈が色濃く反映されています。

画家が絵を描いて売り歩くという設定で、フィクションのような絵を描きたかったんです。美術家として生きるためにはどうしたらいいのか、ビジョンが見えなくて、もっと普通になにかを感じたいと思っていました。最初はパフォーマンスの一部として絵を描き始めたんですが、やってみたら絵を描くのが面白くて、パフォーマンスとかどうでもよくなっていきました。それと同時に、予期せず画廊にスカウトされて絵が売れるなど、画家を演じていた自分が現実にすりよってきました。思い描いていたことが本当に実現されてしまった感じなんです。」

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砂の穴に咲く20本の花 2004 キャンバスに油彩 91 x 116.7cm


GEISAIにはすごい熱量があった!

 アーティストとしての生き方を探っていた時に参加したGEISAIは、スカウトというその後の大きなステップをつかんだばかりか、描きたくても容易に絵に向かえなかった桑久保さんが、自分のスタンディング・ポイントを再確認するための場でもあったようです。

「貸画廊で個展をやっても、内輪の人しか来てくれない。当時は美術の関係者に見てもらえる場所がどこかわからなかったんです。美大の友達とか、アカデミックな美術の人間は、GEISAIはおちゃらけたアートだと思っていて、距離をおいている感じだった。僕自身もそうだったけれど、村上さんにも椹木野衣さんの文章にも共感できることがいっぱいあったし、もう少し市場原理を信用してもいいだろうと思ったんです。実際に参加してみると、ジャンクなものもあるけれど、すごい熱量があった。絵が売れるってどういうことなんだろう? 特権的な人だけにうけるようでは生きていけないなと思いました。

隣のおばちゃんも楽しめるアートを描きたい。

 多摩美術大学の油画科を卒業している桑久保さんは、在学中に様々な現代美術の洗礼を受け、逡巡の末に絵を描くことに戻った経歴があります。絵を再開した時にこだわったのは、なぜかゴテゴテした古めかしい油絵の手法でした。

「なんでもよかったんだけど、僕にとっては油絵だった。画家のおじいちゃんに憧れていたのも関係あるかもしれません。最初は日曜画家風に描きたくて、ゴッホに憧れているのにそれができない、病院に飾ってあるような気持ち悪い感じの絵が描ければなと。それが日本ではリアルだと思ったんです。隣のおばちゃん達でも楽しめる面と、虚構としての美術の面を両方もっている感じ。でもやっているうちに、やっぱりどうでもよくなって、ただ描きたいもの、綺麗だと思うものだけを描くようになっていきました。新しさをよしとする考えをはずして同列に見れば、浮かび上がってくるものっていっぱいある。今では近代絵画が大好きになりましたよ。」

 海辺で制作する画家や、砂浜に穴を掘る人といった海にこだわる幻想的なイメージは、「海辺を描く画家」という彼のつくった最初の設定から始まっています。砂浜や海への個人的思い入れは強く、きっとそこには桑久保さんの深層心理も反映されているのでしょう。けれど、想像的なイメージは自分の中から出られない、ゴッホのように目の前のものをただ描くほうが今は惹かれる、と彼は語ります。絵を描く初期衝動すらも冷静に観察している桑久保さんは、ただ無心で絵に向き合うためのきっかけをずっと探していたのかもしれません。その捻れた感じが、妙にリアルで面白く映ったのでした。

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トリナス II  2005 キャンバスに油彩 97 x 130.3cm

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1978年神奈川県生まれ。2002年に多摩美術大学油画科卒業。
7月に、渋谷に新オープンする東京ワンダーサイトでの二人展に出品。

*桑久保徹ドローイング展@TKGY at lammfromm the Concept Store
5月16日から6月26日まで

photo: Yoshitaka Uchida / nomadic studio
courtesy Tomio Koyama Gallery
(c) 2001 Toru Kuwakubo


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